この本ではまず前半でイノベーションとは「過去の競争の中で定められたパラメーター上で、技術的なブレイクスルーにより、漸進的あるいは飛躍的な性能の向上、または多機能化を実現すること」と定義し、これからは成熟期に入った市場では単に今までの進化方向だけでなく誰に、何を、どのようにという切り口で新しい価値を提供することが大事でこれをリ・インベンションと呼ぶと書かれています。私自身も昨今の大きな変化の中では今までの概念や価値観にとらわれてしまうが故に専門家ほどリスクになると考えていますがまさに同様の事が書かれています。

そこから事例としてホヴディングという自転車用ヘルメットやダイソンのエアマルチプライアーという扇風機などある意味その分野の専門家ではないけど消費者として課題に着目し粘り強くアイデアを出して専門家の技術面での協力を得ながらリ・インベンションを起こしたという事例が紹介されています。日本であまり知られてない事例もあり参考になりました。

そして後半はどうしたらリ・インベンションが生み出せるのか、日本企業の課題などについて書かれています。生み出す源泉は開発現場のこだわりでとにかく完成度にこだわることが大事と書かれています。決して社内政治やマーケティングリサーチなどによってぶれてはいけないと。どうしても大企業になるとリスクを取りたくないがために多数決をとり無難な商品を出すようなジレンマに陥ってしまいがちですね。これから日本企業が欧米企業とも新興国の企業とも戦って勝っていくためには単にコストを下げるとか技術力を高めるというだけでは厳しいと思います。高い付加価値をどう生み出すのか?そのための社内プロセスや企業文化が問われているのではないでしょうか。

この本お薦めです。
http://www.amazon.co.jp/dp/4492533249/ref=cm_sw_r_tw_dp_P-UGrb0VP12S7
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