ずいぶん前に買って積んであったこの本読みました。最初の部分ではグローバル化の歴史を振り返りグローバル化の段階的な広がりとそれぞれの段階における価値が説明されています。元々先進国が後進国に対し植民地的なアプローチでグローバル化が進み、後進国は第一次中心、先進国は第二次産業中心という形で役割が分化しました。そして後進国は先進国のアウトソーシングを請け負ったり、先進国で作られた製品を買ったりする中で豊かになって来ているものの自国の第二次産業が育たない事で生産性が上がらず更なる先進国への成長が難しいという構造にあるそうです。

これはグローバルの流れの中でGATT、そしてWTOという国際的な枠組みが出来て、以前は各国である程度自由に自国の産業の保護をし日本を始めアジア各国が成長してきたのですが、現在はルールが厳しく難しくなっているとのことです。ただ先進国はこのルールを守る事で逆に自国の産業を守るという意味もあり、グローバル化は一般的に正しいというメッセージを送っているのだとか。

世界において皆が理想と考えるグローバル化は自国の国益を守りながら、グローバルのルールも守り、且つ民主主義も重視するということですがこれら3つを全て同時に満足することは難しく、結果的に各国は自国の利益を優先することになるのでグローバルのルールはある程度妥協すべきというのが筆者の意見のようです。

やはり社会というのは論理だけでなく人が関わり、その人々の欲求の集合が政治につながるので、人の気持ちそのものをきちんと理解しないと判断を誤りますね。 

国際経済に興味ある方にお薦めです。
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