起業家 森川亮ブログ

Twitterやfacebookだと流れてしまうので残して置きたいことなどつらつら書いていきます。

カテゴリ: 本・メディアで感じたこと

この本は3月に読んだ本ですが良かったのでご紹介します。企業経営では顧客志向という言葉が長らく使われてきました。経営者の言葉や会社のビジョン、メッセージなどでも多く見かけますが、実際にそれを具現化して成果を出しているのかどうか疑わしい場合が多いと思います。

この本にも書いてありますが顧客志向と経営者が声高に言うことで現場が動くと実際にコストがかかり、その投資を回収できるか疑問なためCFOが反対し結果的に中途半端に終わってしまうことが多いということだそうです。米国では特に3ヶ月単位での業績公開が一般的なため中長期の投資については結果に結びつかないと継続しにくいというともあるでしょう。確かに顧客志向という名目でCSを強化したり、ブランド広告をしたり、CSRをしたりということを繰り返すだけでは業績につながるということは難しいでしょうし、顧客もそれだったら良い商品を出して欲しいとか価格を下げて欲しいと思うこともあると思います。

この本ではこの顧客志向というものを業績と結びつけるKPIを設定することで確実に業績につながるシステムを作る仕組みやプロセスの提案をしています。このことで実際に成果が出た会社もあり、CFO自ら積極的に進めるようになるそうです。日本ではまだまだ実施している会社少ないと思いますが経営者やCFOにお薦めの本です。
http://www.amazon.co.jp/dp/4833420333/ref=cm_sw_r_tw_dp_csVJrb09C4628


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この本は4月に読んだのですが参考になったのでご紹介します。この本は様々なイノベーションの成功と失敗事例を挙げていますが、単独のイノベーションというよりはパートナーを巻き込んでエコシステムを作るコ・イノベーションの事例が多く紹介されています。

例えばデジタル映画については開発会社は勿論のこと映画会社も配信コストが下がるというメリットがあったのですが、映画館としてはデジタルになったからといって映画館のチケット料金を上げることが出来ないため投資回収の見込みが立たず結果的に導入が進まなかったという失敗事例が書かれています。一方で電子書籍についてはアマゾンが端末のスペックはたいしたことなかったが出版社に対し元々影響力が強く、また更に顧客価値を出版社に訴えかけたことで書籍のラインナップが増え、このことで顧客価値が高まり結果的に売上が上がって出版社もより積極的に関わるようになったという成功事例が挙げられています。

いずれにしろエコシステムを作る場合には鶏と卵のような議論があっていかにビジネスサイクルが動き出すようにマーケットを読んで設計するかが大事だと思います。またイノベーションが起こっても売上が上がらずコストがかかり後発企業のほうがメリットがある場合もあるので、この本ではそれらのケースを整理した上での戦略アプローチも書かれています。 

この本は新規事業開発担当や事業戦略担当の方々にお薦めです。
http://www.amazon.co.jp/dp/B00C0N8T94/ref=cm_sw_r_tw_dp_jQEJrb09G5DZ4
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この本は今年の2月に読んだのですが良い本だったので改めて紹介文を書いてみました。これまでブランドとは何か?どうやって作るのかということについて悩んできましたがこの本を読んですっきりしました。

まずブランドというのはデザインやロゴが大事なのではなくお客様への価値の提供とそれに伴うお客様との約束が大事なんだということがわかりました。もちろん企業ですから時には目先の収益を考え安売りやリストラなどをして利益を出す場合もあると思いますが、ステンゲル・ビジネス成長研究によるとブランド理念から大きくはずれた事をやるリスクは高く長期的に成長している会社は次の4つの事を守っているそうです。1つはブランド理念をビジネスの原動力としている、2つ目は人間にとって大事な5つの価値のいずれかに関わるブランド理念を持っている、3つ目はブランド理念を主たる表現手段として用いるビジネスアーティスとがいる、4つ目はビジネスアーティストはいくつかの活動に卓越しているという4つの事を実施しているそうです。ここで言う人間にとって大事な5つの価値とは、喜びを感じさせる、結びつくことを助ける、探求心を刺激する、誇りをかき立てる、社会に影響を及ぼすの5つとのこと。この本では長期的な成長をするにはブランド理念とそれを元にしたリーダーシップが大事だということが書いてあります。

単に流行っているとか儲かるとかという観点だけで事業に参入することはブランド価値を下げてしまうそうで、あくまで自分達のブランド理念を具現化するために必要な事業に参入するととが大事だということですが、そのためには株主や社員、パートナーを説得する必要もあり、短期の業績を犠牲にする場合などはリーダーの説得力は並大抵でないかも知れません。リーダーが考えるべき事は未来の顧客を理解出来ているか?会社とブランドはどのような価値を実践しているか?会社とブランドはどのような価値を実践したいのか?この問いの答えを実際の活動に反映させているか?ということだそうで、リーダーは周りを説得しブランド理念に基づいて自らこのような問いを実践することこそブランドを作る上で最も重要なことだそうです。これらを実現するための組織文化作りや評価の仕方などが具体的に書かれていて本当に勉強になります。

経営者の方や商品企画の方、マーケティングの方などにお薦めの本です。
http://www.amazon.co.jp/dp/4484131013/ref=cm_sw_r_tw_dp_NvkJrb1TQ2935
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GILTというファッションとeコマースの世界にイノベーションを起こした会社の起業のリアルストーリーです。ファッション業界においては特にハイブランドほどネットでの販売に慎重でした。ITの世界に疎かったということもあるかも知れないですがブランド価値を守る為に価格や流通を制限したかったのです。けれども売れ残り在庫のリスクの問題があってそれをブランドにとって理想的な顧客に限定販売出来るという価値をブランドに提供しオンライン販売に踏み切らせました。またeコマース業界においては招待制で中身が見れないという今までのeコマースの常識を破りました。

これらをパワフルな女性二人組が具現化するわけですが、まるでこの事業を立ち上げるために生まれてきたようなキャリア。そして何よりこの二人のチームワークが本当に素晴らしい。ベンチャー経営にはビジネスモデルや資金、営業などパートナーシップ、マーケティングなど様々な課題があるものですが最も大きいのは人材だと思います。変化についてこれるか?、社員が増えて役割や権限が変わってもモチベーションが維持できるか?、成功に酔って業務がおろそかにならないかなど色々あると思いますがそんな事がありながらも自分達の役割を柔軟に変えてCEOを外部から招いてでも成長する姿共感しました。起業家にお薦めです。

この本お薦めです。
http://www.amazon.co.jp/dp/4822249565/ref=cm_sw_r_tw_dp_yFqIrb0ZAZWFV

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この本ではまず前半でイノベーションとは「過去の競争の中で定められたパラメーター上で、技術的なブレイクスルーにより、漸進的あるいは飛躍的な性能の向上、または多機能化を実現すること」と定義し、これからは成熟期に入った市場では単に今までの進化方向だけでなく誰に、何を、どのようにという切り口で新しい価値を提供することが大事でこれをリ・インベンションと呼ぶと書かれています。私自身も昨今の大きな変化の中では今までの概念や価値観にとらわれてしまうが故に専門家ほどリスクになると考えていますがまさに同様の事が書かれています。

そこから事例としてホヴディングという自転車用ヘルメットやダイソンのエアマルチプライアーという扇風機などある意味その分野の専門家ではないけど消費者として課題に着目し粘り強くアイデアを出して専門家の技術面での協力を得ながらリ・インベンションを起こしたという事例が紹介されています。日本であまり知られてない事例もあり参考になりました。

そして後半はどうしたらリ・インベンションが生み出せるのか、日本企業の課題などについて書かれています。生み出す源泉は開発現場のこだわりでとにかく完成度にこだわることが大事と書かれています。決して社内政治やマーケティングリサーチなどによってぶれてはいけないと。どうしても大企業になるとリスクを取りたくないがために多数決をとり無難な商品を出すようなジレンマに陥ってしまいがちですね。これから日本企業が欧米企業とも新興国の企業とも戦って勝っていくためには単にコストを下げるとか技術力を高めるというだけでは厳しいと思います。高い付加価値をどう生み出すのか?そのための社内プロセスや企業文化が問われているのではないでしょうか。

この本お薦めです。
http://www.amazon.co.jp/dp/4492533249/ref=cm_sw_r_tw_dp_P-UGrb0VP12S7
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