起業家 森川亮ブログ

Twitterやfacebookだと流れてしまうので残して置きたいことなどつらつら書いていきます。

カテゴリ: 本・メディアで感じたこと

以前角川歴彦さんの本でも紹介されていましたが、日本の著作権法があまりに権利者向けに作られている、というか権利者が守られているがために新しいビジネスが育たない。特にソーシャルメディアやクラウドサービスにおいてアメリカのようなオプトアウトの考え方(基本利用を認めるが問題があった場合に削除する)を認めないと新しいビジネスモデルは育ちにくく海外発のサービスが日本市場を席巻するという考え方です。

実際過去日本ではテレビのネット配信やクラウドへの録画サービス、またPtoP配信のWinnyなどで厳しい対応をしサービスが停止された反面、アメリカではフェアユース(作られたものが個人利用の範囲、元のコンテンツの比率が低い、元のコンテンツのビジネスを損なわない)などの考え方で認められるケースが多く結果新しいWEBサービスが広がっているという現状があります。また実際に法律に反したとしても対応すれば罰することはないという安心感もありチャレンジ出来ますが、日本ではプロバイダ責任制限法で罰せられる可能性がゼロではないという曖昧な不安があるところもあります。

日本は何か問題があると法律化されます。それは法学部出身の人が責任と権限を持っているからではないかという意見も多くあるようです。しかし現代は変化が早く、これに法律も対応出来ないと当然遅くなり、かつ法律の適用範囲が曖昧ではリスクがあって挑戦しにくいという状況が残っています。経済を活性化する上でこのような点を根本解決する必要を感じました。

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 rights

最近ロボットがこれから来ると騒がれていますが、この動きは以前にも一度あってソニーやホンダなどがチャレンジしました。その時は単なるブームで終わってしまったかのように思われましたが、その技術は着実に進化して掃除ロボットのような単機能型や検索、ビックデータ分析のような形で残り続け今またロボットという形で表面化し注目されています。

この本では生物の進化よりもコンピュータの進化の方が累乗的に早く、ここ数十年でコンピュータの処理能力の速度が高まり、更に脳のリバースエンジニアリングの実施をすることでロボットが人間に追いつくだろうと予測しています。そしてバイオテクノロジーの進化による遺伝子組み換えやナノテクノロジーの進化によるナノロボットの誕生などで人類2.0が誕生するだろうと書かれています。この本自体が書かれたのが2007年だったのでその当時とまた技術の進化の状況は異なっていますが、実際にスマートフォンの進化からウェアラブル、そして最近のロボットブームを見るといずれこのような時代は来るだろうと容易に想定できますね。

ロボットが賢くなると逆に人間はクリエイティブなことに集中することでより人間らしくなるかも知れませんし、人間とは何かという哲学的な考え方が技術以上に求められる時代が来るのかも知れません。

技術の未来に興味がある方にお薦めの本です。 
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posthuman 

冨山さんの書いた「なぜローカル経済から日本は甦るのか 」読みました。いつも冨山さんの話は切れ味が良く、ロジカルで事実中心に書いているのでわかりやすく共感します。

今回はローカル経済が日本においてどういう位置づけにあるのかというところの理解から始まります。まずグローバルの影響がある領域とそうでない領域とがあって、今現在日本で雇用の多いサービス産業はどちらかというとグローバルの影響を直接受けにくいローカル領域であってそこが日本を大きく支えているというところからローカル経済が大事だと書いてあります。そこから先は読んでいただくと理解が深まりますが、最近経営者の中でも地方再生に興味を持っている人が多く、様々な形で支援をしていますがこの本参考になると思います。

地域再生に関わっている政治家や官僚、NPOの方々にお薦めです。
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local 

この本は最新のアジア諸国、特にASEANにおける経済やビジネスの現状について書かれています。世界どの国も変化が早く、特に政権や周りの国との関係などによって急激に変わる可能性があるので古い本はほとんど参考になりません。この本は2014年3月に出たばかりなので日本語で書かれたアジアの本としては最新情報が書かれていると思います。アジアでビジネスを考えている方にお薦めの本です。
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nextasia

この本は前回の「21世紀の歴史」で紹介したジャック・アタリさんの最新刊です。今回は特に今後のリスクについて資本主義の危機やエネルギー問題、高齢化、環境問題、医療と教育、国家間の紛争などについて挙げて、それを個人、企業、そして国、更に人類としてどう乗り切っていくかが書かれています。

もの凄く壮大なテーマでしたが、様々な課題はうなずける部分も多く、後はそれをどう乗り越えるのかというところですが、彼は7つの原則として自己の尊重や緊張感、共感力、レジリエンス(復元力、耐久力)、独創性、ユビキタス(順応力)、革命的な思考力を挙げています。日本は国としては自己の尊重が強いそうですが、レジリエンスや緊張感、共感力が弱いのだとか。共感出来ない部分もありますが世界の課題が整理されていて、また日本を外から見てどう見えるのか参考になります。

グローバル経済や経営に興味がある方にお薦めの本です。
http://www.amazon.co.jp/dp/4861823102/ref=cm_sw_r_tw_dp_I3aUtb1PHYS6B
kikitosurvival